【女城主】岩村醸造
岩村醸造について
岐阜県恵那市岩村町にある岩村醸造は、1787年(江戸時代の天明7年)創業。
当時、現在の蔵元である渡會(わたらい)家が年貢として岩村城に納めていたお米を生かし、
造り酒屋を始めたのが起源です。
大正10年、岩村町で2番目となる株式法人設立と同時に
お酒の他に味噌、醤油も造りはじめました。
社名が「酒造」ではなく「醸造」となっているのは、そのためです。
その後、味噌・醤油の製造は止め酒造業のみに専念し、現在に至ります。
一般的に、酒蔵の名前には創業家の名字を冠することが多いですが、“岩村”醸造は、あえて酒蔵のある町名を掲げています。 その理由は、この土地で酒造りをする意義と自らの存在理由を常に意識し、真の意味での“地酒”づくりを目指しているからです。 だからこそ、原料となるお米は地元で栽培されたものを、また仕込みのための水は、お米との相性を大切に考え、原料米を育てるものと同じ水質の天然水を、約400年前に掘られた井戸から汲み上げ使用しています。 熟練した杜氏(とうじ=酒造りの職人)の手作業により、創業以来の「玲瓏馥郁(れいろうふくいく)」を信条とした酒造りを守りつつ、常にその時代に即した酒を追求し、今も進化を続けています。 ※「玲瓏馥郁(れいろうふくいく)」…透き通るように美しく輝き(玲瓏)、良い香りが漂う(馥郁)
製造/技巧についての説明
原料となるお米は、主に地元・岐阜産の酒造好適米「ひだほまれ」を、大吟醸には兵庫県産「山田錦」をふんだんに使用しています。 岩村醸造では、精米歩合(米の表面を磨き、中心部が残っている割合。その割合が小さいほどデンプン含有率が高くなり、酒の雑味が減る)は平均して52%、つまりおよそ半分も削り落としています。 酒造りにおいて重要な水には、水道水は一切使用せず、約400年前に掘られた井戸から汲み上げた木曽川水系の天然水のみを使用しています。 しかもその天然水は日本酒造りに最も適した軟水で、硬水と違いカルシウムやマグネシウムなど酵母の栄養となってしまう成分が少なくゆっくりと発酵するため、なめらかな口当たりのお酒になるのです。 また、岩村町はたいへん水に恵まれている土地で、岩盤になっている地下層には清冽な水が絶え間なく流れています。酒造りの時期には、井戸水が空になってしまうこともあるのですが、3時間もすれば元通りの量が湧き上がってくるほどです。
岩村町は、積雪量こそ少ないものの、1~2月は大変冷え込み、-15℃を下回る日が何日も続き、それは井戸水から湯気が立ち昇るほどの寒さです。夏でも酒蔵の温度は20℃以下と、日本酒造りと吟醸酒の貯蔵には最適の環境にあります。
店舗
岩村は、木曽山脈の山懐に抱かれた古い城下町です。「日本三大山城」のひとつであり、日本一標高の高い場所に建てられている岩村城のふもとに、東西1.3kmにわたり江戸時代からの古い街並みが続いています。「重要伝統的建造物群保存地区」に指定されているその一角に佇むのが、創業230年を数える日本酒の蔵元、岩村醸造です。
築300年ほどという家屋は、江戸時代に建てられた往時の姿をそのまま残しています。 玄関を入ると、岩村醸造の主要銘柄「女城主」「えなのほまれ」の酒瓶がずらりと並ぶ直売スペースが。
そこから先は、間口が狭く奥行きのある“ウナギの寝床”と呼ばれる形状となり、その足元を2本のレールが走っているのが目にとまることでしょう。 店先から中庭を抜けて酒蔵まで、その間約100メートルをつなぐそのレールは、かつて酒や米の運搬に使われていたというトロッコ列車の線路跡です。
酒蔵は、このレールに沿って歩きながら自由に見学できるよう、一般に開放されています。
中庭には季節によってかわいらしい山野草の咲く様子が楽しめ、お酒の仕込みに使う天然水も飲むことができます。
また、ほとんどのお酒が店頭で試飲可能なので、ぜひ飲み比べてお気に入りのお酒を見つけてください。
お客様の声
このような恵まれた環境の下にあっても、できるお酒の味は毎年違います。 私たちが心がけるのは、進化する現代人の味覚にも満足いただけるよう、毎年、新たな創意工夫を凝らしながら、大量生産ではない、ひと雫までお客様の心に響くお酒を醸すことです。